【事例研究】歯科医師による医療事故まとめ(4ページ目)

【事例研究】歯科医師が当時者となった医療事故4

過去に歯科医師が当事者となった医療事故の事例をまとめました。
歯科医師による医療事故を少しでも減らすため事例研究にお役立ていただければ幸いです。

※個別の事例についてのお問い合わせには応じかねます。予めご了承ください。

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事例76:医療機器等・医療材料の使用に関する医療事故

実施した医療行為の目的

患児のう蝕治療。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 担当医は該当患児の歯科診療を、患児の母親が歯科用ユニットの右側に丸椅子に座し、付き添った状態で行っていた。
  • 担当医は器材を取りに行くため、診療ユニットのオートボタンを押して水平位から座位に自動復帰するようにした。
  • 担当医はボタンを押した直後、ユニットから離れた。
  • 歯科用ユニットの背板が起き上がり、座面が下降し始めた。
  • 歯科用ユニットが自動操作中に、ユニット上の患児は母親に寄りかかる状態となり、患児の母親の両手がふさがってしまう状態となっていた。
  • 母親が患児を抱きかかえた状態のまま歯科用ユニットの座面が下降し続け、右脚大腿の膝関節付近が歯科用ユニット座面の下部に挟まれはじめた。
  • 患児の母親は右脚大腿が挟まったまま身動きのとれない状態で、さらに歯科用ユニットは止まらずに動き続けた。
  • あまりの痛みに耐えかねた状態となり患児の母親が倒れこんだ。

医療事故発生の要因

  • 本ユニットの取り扱い説明書には、
    • 動作中、手・足・指・物等は関節(可動)部分に近づけないこと。(隙間に挟まれてのけが、破損防止)
    • 椅子の稼働時は椅子が停止するまで患者さんから目を離さないこと。(手足のはさみ込み防止)

という警告文および図が記載されているが、上記遵守事項が正しく守られていなかった。

  • ボタン1つで椅子の位置が変わるオート機能は利便性は高いがオートストップ機能標準化していないと本医療機器を安全に使用するのは難しい。

改善策

  • オート機能の停止。

事例77:誤飲に関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯科治療で、根管治療を行っていた。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 歯科治療時時、誤って口腔内に歯科用器具を落下させ、誤飲させてしまった。

医療事故発生の要因

  • 超音波洗浄器にて根管洗浄中に設定回転数への変更を忘れ、接合部でファイルの先端が外れてしまい、口腔内へ脱落した。
  • すぐに口腔内より排出を促したが、口腔内より排出できず。
  • 腹部XPにて腸内部にて同器具を確認した。

改善策

  • 不明

事例78:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯根破折に対する治療。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 右側下顎6抜歯のところ、右側下顎7を抜歯した。

医療事故発生の要因

  • 抜歯すべき歯牙のエックス線像と口腔内での歯牙の認識の不一致があった。

改善策

  • 歯科系会議において以下を決定
    • 処置前に患者とともに処置する歯牙を確認する。(患者による指差し等)
    • 抜歯処置開始時には、タイムアウトを行い、患者自身の最終確認を受けるとともに、アシスタントあるいは周囲の人間にもその内容の確認を負ってもらう。
    • 埋歯抜歯では切開線を描記することを励行。
    • 判別が難しい症例では、処置依頼医師の立ち会いを受ける。
    • 歯種の記載はFDI方式のみに頼らず、確実に伝達できるように配慮する。
    • レントゲン写真:PC画面に頼らず、プリントアウトしたものを用意し、その上に処置歯のマーキング並びに処置予定歯の歯牙番号などを記載し、処置中に随時確認しやすい場所に掲示する。(患者説明時に記入するのが望ましい。)

事例79:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

手術

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 患者は腫瘍切除のため下顎骨辺縁切除術が行われた。
  • 手術開始。
  • 手術終了。レントゲン撮影は異常なかった。
  • 執刀医師は術後、気管チューブ抜管前に家族への術後説明のため手術室を退室。
  • 抜管されたが、抜管時に特に力を入れすぎたり、引っかかったりすることもなく行われた。
  • 直後に口腔内に少量ずつの出血。
  • 手術室には担当医師、研修医、麻酔担当医師がおり、担当医師が圧迫で止血を試みたが困難であったため、執刀医師へ連絡。
  • その後担当医師が麻酔担当医師に再挿管を依頼したが、口腔内の出血のため再挿管が困難であり、麻酔科医師の応援を依頼。
  • 応援麻酔科医師による気管挿管が行われ、執刀医師も到着。
  • 輸血が行われ、出血点探索。
  • 舌動脈より出血が認められ、止血術が行われ、ICUへ退室した。
  • 総出血量は2730gであった。
  • 家族に対しては、術前、輸血の同意書を取る時に出血のリスクとして説明されていた。
  • 術後は再挿管後、止血術開始と同時に執刀医師から妻に対して、抜管後、手術部位の舌動脈から出血があり、一度抜管したが再度挿管して止血の手術をするということがPHSで説明され、ICU入室後再度治療経過を説明。
  • 家族からは、「先生の良いと思われる方針でお願いします」との返答。
  • 入院後はバイタルサインも変動なく、以後出血も見られなかった。

医療事故発生の要因

  • 手術中に舌動脈の血管の損傷が起こったと考えられるが、挿管チューブの圧迫で止血され、抜管することで損傷部位から出血が 始まったと考えられる。
  • 執刀医師が家族への説明のため抜管前に手術室を退室しており、急激な出血への対応が困難であった。

改善策

  • 術当日は患者の状態が落ち着くまで執刀医師および担当医師は患者観察を続け、迅速に対応できるようにする。
  • 執刀医師と担当医師との連携を強化する。

事例80:方法(手技)の誤りに関する医療事故

実施した医療行為の目的

高気圧酸素療法

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 高気圧酸素療法を実施している時に、2気圧上昇後、48分経過した時点で、歯科医師Aが、患者が指輪をしていることに気が付いた。
  • 治療を中止して減圧。

医療事故発生の要因

  • 開始前、患者の身体チェックが行えていなかった。

改善策

  • チェックリストに基づき、開始前に確認する。

事例81:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

上顎正中過剰埋伏歯(2本)に対し抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 近医より、上顎正中埋伏過剰歯の精査目的で紹介され手術を決定。

  • 患児の負担を考慮し全身麻酔下での抜歯を計画し、術前検査を施行。

  • その後、全身麻酔下にて、抜歯術直前のレントゲン等の資料を医師3名(1名は研修医)で確認した上で、上顎正中埋伏過剰歯(2本)の抜歯術を施行。

  • 術後の経過観察および抜糸目的で当科受診時に状況確認のためオクルーザルX-Pを撮影し、埋伏していた健常歯である上顎左側側切歯を誤抜歯したことが発覚。

  • 上顎正中埋伏過剰歯(2本)抜歯時に抜歯してはいけない上顎左側側切歯を誤抜歯してしまったことを保護者(母親)へ説明し謝罪。

  • 父親にも来院して頂き、誤抜歯の事実と今後の治療計画を説明。

  • 18歳になった時点でインプラントを埋入することとし、それまでは、歯が寄らないようにするため接着剤にて仮固定するか、乳歯を最大限利用してスペースを確保し、最終的には矯正をすることとした。

  • 医師賠償責任保険に提出。

医療事故発生の要因

  • 抜歯が必要な過剰歯だけではなく、永久歯も全て完全埋伏状態であり位置関係が非常に複雑であり、通常のレントゲでは位置関係を確認しづらかった。
  • 上顎骨内に上顎前歯および過剰歯が緊密に近接しており、永久歯を過剰歯と思い込み誤抜歯した。

改善策

  • 全身麻酔下の手術では、手術室に歯科用のレントゲン装置がないため、簡単に確認する手段がない。

    • 頭部単純エックス線では、障害陰影となるものが多く映るため、そのような手法では詳細を術中に把握することは難しい。
  • 歯牙の位置関係などの情報を可能な限り取得できるようX-PおよびCT等を用い十分に位置関係を確認し施術する。

  • 手術室で使用可能なポータブルX線撮影(オクルーザル)購入し、抜歯前後のX-P確認を行う。(配備完了)

事例82:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯列矯正のための抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 誤抜歯。
    • 左側上顎第1小臼歯を抜歯するべきところを、第2小臼歯を抜歯。
    • 第1小臼歯は、知覚過敏を起した。

医療事故発生の要因

  • 左側上顎第1小臼歯抜歯操作中、容易に抜けなかったので、一時中断した。
  • 患者が休憩している間に、他の患者を診るためユニットを離れ再度、戻って抜歯を行った。
  • 抜歯直後に、患者から第2小臼歯ではないかと指摘され、誤抜歯に気付いた。

改善策

  • 何らかの理由で抜歯を中断したのを再度実施する場合は、対象の歯をよく確認後、処置を開始する。
  • 抜歯予定の歯をマーキングする。

事例83:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

炎症の原因となる歯の抜去。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 抜歯後撮影したX線の確認不十分で、歯根が残存していたのを見逃した。

医療事故発生の要因

  • 研修医と指導医の連絡不十分。
  • 研修医への指導不十分。

改善策

  • 不明

事例84:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

上顎癌術後の患者に対して、顎義歯作製のためにアルジネート印象材を用いて印象採得を施行していた。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 上顎歯肉癌術後の患者であり、事故発生前後において意識状態は問題なかった。
  • 上顎癌術後であり、上顎欠損部を補填するための義歯作製の為に、アルジネート印象材を用いて口腔内の印象採得を施行していた。
  • 口腔内から型を除去した際に、口腔上顎洞瘻孔に、アルジネート印象材が入っていることに気付き除去を試みるも、除去不能であったため、上級医にも摘出を依頼したが不能であった。
  • 迷入した印象材の量、迷入部位に関して同定することは困難であったため緊急でMRI撮影するも画像的に抽出はできなかった。
  • CT撮影したところ、上顎洞に迷入した印象材を確認することが可能であったため、局麻下に犬歯窩よりアプローチし印象材を摘出。

医療事故発生の要因

  • 湿性のガーゼをおいて印象材の迷入を予防する処置を怠った。

改善策

  • 印象材が迷入してしまう可能性が高い場合には、これまでの方法に従い、湿性のガーゼを置くまたは瘻孔内に入れた状態で印象採得処置を施行する。

事例85:異物の体内残存に関する医療事故

実施した医療行為の目的

残根を除去すること。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 観血的処置時の異物体内残存(歯根の上顎洞迷入)。

医療事故発生の要因

  • 放射線治療後で上顎洞炎を併発したり、歯根の骨癒着がみられた。

改善策

  • 放射線治療既往の患者の抜歯は診療科全体で話し合い、治療方法など十分に検討の上、患者にも骨髄炎などの説明を十分行って実施する。

事例86:異物の体内残存に関する医療事故

実施した医療行為の目的

右下第二大臼歯頬側の手術後開窓部を閉鎖するオブチュレーターを、可及的に開窓した内部に延長するための印象採得を行うため、シリコーン系の印象材を用いての印象採得を行った。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 右下第二大臼歯頬側の手術後開窓部を閉鎖するオブチュレーターを製作するため、既製トレーを使用し、シリコーンパテタイプとインジェクションタイプを用いて印象採得を行った。
  • オブチュレーターは可及的に開窓した内部に延長するように製作することが望ましいとのことで、開窓内部にインジェクションタイプの印象材をシリンジで注入して印象採得する手法を用いた。
  • 開窓内部で、インジェクションタイプの印象材が組織液の影響等で断裂し、印象材の残留に陥ったと想像される。
  • 印象撤去時には開窓内部の確認を行い、残存印象材はないと判断し、口腔外科外来にてガーゼで開窓部の閉鎖を行ったが、これにより、より深部に印象材が移動し、3年半の間発見されなかったものと思われる。

医療事故発生の要因

  • 使用した印象材は、シリコーン系の印象材であり、精密採得時に使用されるものである。

  • オブチュレーターは可及的に開窓した内部に延長するように製作することが望ましいとのことで、開窓内部にインジェクションタイプの印象材をシリンジで注入して印象採得する手法を用いた。

  • 通常通り、印象材撤去時に、内部に材料の残留がないかを確認を行ったが、異常はないと判断し、処置を終了した。

  • ここでの確認・経験不足が考えられる。

  • CT画像診断報告書は術直後ではなく、6ケ月経過した画像評価で、開窓術を行うことによって新生骨が出来てくるので異物ということは念頭になかった。

  • 反応性の術後変化と捉えて診断した。

  • その後も新生骨の形成として考えていた。

  • 仮に術直後の評価であれば、新生骨がないのでそのような診断はしていない。

  • 顎顔面放射線科のCT画像診断報告書を確認して、診療を行っていた。

  • 腫瘍の減量術を2回行っているが、異物部位ではなかったのでわからなかった。

改善策

  • オブチュレーター製作時には、開窓部入口の印象で作製し、開窓内部へのオブチュレータ形成と調整は、即時重合レジンを用いて、チェアサイドで形態を形成するようにする。
  • シリコーン系の材料を使用する際には、レントゲン造影性のある印象材を製造することができれば、レントゲンで確認可能であるが、現実的ではないため、例えば、印象採得前後での印象材の重量を計測するなどの方法をとるなどの方法も考えられる。
  • 画像所見の確認を慎重に行う。

事例87:与薬に関する内容に関する医療事故

実施した医療行為の目的

左側口腔底がん、左側頸部リンパ節転移に対する化学療法。
アービタックスの初回投与であった。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 患者の病室でアービタックスを開始、開始後2~3分間、看護師が観察をして退室。
  • 開始10分後に医師、看護師が訪室時、意識消失している患者を発見。
  • 直ちに緊急コールで応援を要請し、モニター装着、サクシゾン、アドレナリン投与、気管内挿管の上、集中治療室へ搬入。
  • アービタックスによるアナフィラキシーショックと判断し、以後、アービタックスの使用は中止となった。

医療事故発生の要因

  • アービタックスによるアナフィラキシーショックを予測して対応していた。
  • しかし、モニターは装着していなかった。
  • 投与開始後2~3分でベッドサイドを離れたため、異常出現時の対応が遅れた。

改善策

  • 腫瘍センター内キャンサーボード、看護部内の担当部会で事例を共有
    • アービタックス使用時にはベッドサイドモニターを使用すること
    • 開始後5分間はベッドサイドで観察を行うこと
    • 使用経験の少ない病棟で化学療法を行う際は事前の勉強会を行うこと

を申し合わせた。

事例88:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

術後出血に対する気管切開。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 上顎癌にて左上顎切除および右頚部郭清、左大腿部からの採皮を行った。
  • 右頸部にSBドレーン挿入中であり何度かリークを認め、主治医がSBドレーンの入れ替えを施行。
  • SBドレーン、ボトル内に淡黄色の漿液性の排液を10ml程度認め、経過観察を行っていた。
  • ドレーンより出血があることを患者が気づき、ナースコール。
  • 病棟Nsがドレーンより5分間に50mlの出血を確認し、当科オンコールDrに連絡、また、ショックコール。
  • 麻酔科Drが病棟に到着し、ライン確保。
  • その時にはバイタル安定し、意識清明であった。
  • 歯科Drが病棟に到着し、ドレーンまた右頸部創部から約800mlの出血を認めた。
  • 輸血などの準備ができ次第手術室での手術を行うこととした。
  • 患者本人には口頭で手術の同意を得た。
  • 患者家族が来院し手術の同意書を得た。
  • 手術室入室。
  • 麻酔開始され手術準備を行っていたが、呼吸困難を訴え、体動が激しくなり、血圧が急上昇し、再出血を認め、気管切開することとなった。
  • Sp02が30%程度まで低下、除々にHR低下し、アトロピン1A投与。
  • HR回復したが、その後も低酸素状態が続き、再度低下、圧波形も観察できなくなったため麻酔科Drによりボスミン1mg×3回投与。
  • 気切施行時の吸引、エアウェイ挿入下でのマスク換気によりSP02も除々に回復し始め、6時45分気切による気道確保施行し、Sp02が95以上に回復。
  • その後、頚部の止血処置を開始。
  • 下頸部の深頸筋表層より動脈性の出血を認め、結紮終了。

医療事故発生の要因

  • 低栄養状態による創傷治癒不全。

改善策

  • 術後管理の体制の見直し。

事例89:検査の指示に関する内容に関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯周病フォロー

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 患者は、脳梗塞の既往により、四肢麻痺・構音障害があり、歯周病で外来フォローを行っていた。
  • 患者の診察時に、前回受診時にはあった歯科補綴物が無いことに気付いた。
  • 「どこかで飲み込んだのだろう」と患者と家族に説明を行い、画像検査は実施しなかった。
  • 咳が出るためAクリニックを受診した際、胸部X-Pにて右主気管支に異物が認められ、B病院に紹介された。
  • 内視鏡下にて異物摘出を行い、異物は歯科補綴物であった。
  • B病院からの情報提供により事実が判明した。

医療事故発生の要因

  • 歯科医師が指摘するまで患者自身に自覚症状が無かったため、特に画像検査は行わなかった。

改善策

  • 存在したはずの歯科補綴物が口腔内に存在しないことに歯科医師が気付いた時点で胸部単純X線写真を撮影する。

事例90:方法(手技)の誤りに関する医療事故

実施した医療行為の目的

全身麻酔下での下顎左側第二大臼歯の歯根嚢胞摘出術と歯根端切除術にて骨内の病巣の除去。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全身麻酔下に下顎左側第二大臼歯の歯根嚢胞摘出術と歯根端切除術を行う目的で、ドリル状の切削器具で骨を開削している際に、切削器具のヘッドの部分が下口唇に押しあてられており、同部に熱傷らしき損傷が生じていることに気付いた。
  • 切削バーの回転によりヘッドが高熱になっていることに気がついた。
  • 下口唇創部にステロイド軟膏を塗布。
  • 術後、主治医と担当医(執刀医)が患者本人に説明して謝罪。
  • 創は下口唇の赤唇から白唇(皮膚)に及んでいたため形成外科医に対診。
  • 形成外科医の指示により入院中、退院後も軟膏を塗布して経過を観察。
  • 創部に肉芽形成を認めるも、デブリードマンと縫合術をした方が予後は良いとの形成外科医の判断にて、術後1か月後に形成外科医により縫合術を施行。
  • 術後は経過良好で創はほとんど目立たないまでに改善。

医療事故発生の要因

  • 術中、切削器具使用時に刃の部分を注視するあまりヘッドの部分やバーの柄の部分が下口唇に接触していることに気がつかなかったこと。
  • ヘッドが高温になることはしばしばあるため、その点を考慮して防御策を講じるべきであった。

改善策

  • 口唇を防御するプロテクターが市販されているため、同様の手術をする際には原則としてプロテクターを使用することをマニュアル化。
  • 手術助手の役割として、切削器具と口唇との接触関係を注視し、もし接触しているならば術者に注意を促すことを義務づけ。

事例91:手術に関する医療事故

実施した医療行為の目的

顎変形症の診断にて、上下顎骨の位置を改善するための手術(上下顎同時移動術)。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全身麻酔下で上下顎同時移動術を施行。

  • 術後経過は良好で歩行にも問題なく、経口摂食を開始していた。

  • 右側鼻孔から出血が見られた。

  • 歯科当直医および耳鼻科医師にてガーゼ挿入による圧迫止血。

  • 翌日にアドナとレプチラーゼ注、翌々日にトランサミン注。

  • その間止血したり出血したりを繰り返していた。

  • バイタルサインに変動はなく、意識も明瞭であったが、出血に対する不安を訴えていた。

  • 一旦止血したが、再度右側鼻孔から出血が生じ、耳鼻科にて内視鏡検査施行したが明らかな出血点なく、貧血が見られたためベッド上安静とした。

  • 貧血によると思われる倦怠感を訴えていた。

  • Hbが5.7g/dLまで低下したため4単位の濃厚赤血球輸血。

  • 輸血後は倦怠感が回復し、再出血はみられず無事退院。

  • 耳鼻科にて全身麻酔下で鼻腔内を精査を行い、血餅の付着した出血点と思われる部位に対して止血処置。

  • 本手術は鼻粘膜を傷つけることがあり、時々術後鼻出血が生じるが、鼻出血発見時、担当医は出血量が通常の鼻出血とは異なると判断し、耳鼻科医師にコンサルト。

  • しかし、原因は不明であった。

  • その旨を患者とその家族に逐一説明し納得してもらう。

医療事故発生の要因

  • 事故のきっかけとなったと思われる上下顎同時移動術は、鼻出血の9日前に施行された。
  • 術後患者の全身状態に異常はなく、経過は順調だったため、鼻出血の原因は不明である。
  • 本手術が要因であれば、上顎骨の骨切り術では鼻粘膜を損傷することがある点と、鼻腔に近い下行口蓋動脈を損傷することがある点であるが、術中、術直後に同部からの異常出血はみとめていなかった。

改善策

  • 鼻粘膜と下行口蓋動脈の近くを手術操作する際は、細心の注意を払う。
  • 創を縫合閉鎖する前に、血圧を上げて一定時間出血の有無を確認する。
  • 同様の手術の手術説明で偶発症の項目に術後鼻出血を含めて説明する。

事例92:破損に関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯牙切削

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全麻酔下に智歯抜歯術を施行。
  • 左側下下顎歯の歯牙切削中にフィシャーバーが破折。
  • 破折したバーは、歯牙に食い込んでいたため取れないと判断しそのままの状態で歯牙抜去を試みたところ、歯牙の一部が破折し、バーの破折片も同時に消失。
  • 口腔内、抜歯窩、口腔外も確認したが見つからないため閉創。
  • 頭部エックス線撮影を行い確認したがバーの破折片は認めず。
  • 同様に胸部、腹部のエックス線写真でも認めなかった。
  • 手術を終了、安静解除後に外来でパノラマ撮影で確認したところ、左下8抜歯窩付近にバーの破損片を認めたため開創し除去。

医療事故発生の要因

  • リュース対応製品であったため使用頻度の確認は行っていなかった。
  • 洗浄時や使用時に目視では破損するかどうかわからなかった。

改善策

  • すべての金属バーは、1回使用ごとに破棄する。

事例93:誤嚥に関する医療事故

実施した医療行為の目的

上下顎義歯の維持安定。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 当療養所の歯科外来を他院入院中の当該患者が受診、右上顎犬歯の補綴処置を施行。
  • 水平仰臥位で義歯調整中に、当該患者が突然強く咳込み、その後補綴物が不明となった。
  • 当該患者に咽頭違和感や呼吸困難等の自覚症状はなかったが、誤嚥または誤飲を疑い、直ちにX-P検査と内科医師の診察。
    • 胸腹部XーPと胸腹部CT撮影で、右下葉気管支内に大豆大の金属陰影を認めた。
  • 内科医師より誤嚥の診断あり。
  • 近隣の呼吸器科へ救急搬送、気管支内視鏡にて誤嚥した補綴物を除去。
  • 経過観察のため1日間の入院加療後退院。

医療事故発生の要因

  • 患者側の要因:後期高齢者でハンセン病後遺症による軟口蓋の欠損、嚥下機能障害がある。
  • 当事者側の要因:当該患者の嚥下機能障害等の把握不十分、当該患者が入院している病院との連携不足。

改善策

  • 水平臥位での診療は、誤嚥を起こし易いことから可能な限り座位での診療を行う。
  • 脱落し易い補綴物等は積極的に除去する。
  • 口腔、咽頭内への脱落防止策としては、処置時は乾ガーゼ等を口腔内へ置く。ガーゼを使用する際は、ガーゼの量や設置場所に留意し患者の呼吸状態等を観察する。
  • 他院入院中の患者を診療する際は、患者の病状や嚥下機能等を把握するために、入院先の病院施設との連携を密にし情報の共有を図る。

事例94:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

左側下顎水平埋伏智歯相当部の自発痛と咬合痛のための抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 左側下顎水平埋伏智歯の自発痛と咬合痛のための抜歯目的で初診。
  • 消炎後に抜歯の方針となり、20日後に再受診するも炎症の消退はみられなかったが、本人の希望と新たに持参された紹介状により、抜歯を施行。
  • 左側下顎伝達麻酔と浸潤麻酔を施行するも途中で気分不快となり一時中断。
  • 本人に抜歯継続の意思を確認し再度浸潤麻酔を施行したが誤って右側歯肉に施行。
  • 右側歯肉の切開中に再び気分不快になり一時中断、気分回復後、指導医に代わり右側下顎水平埋伏智歯の抜歯を施行。

医療事故発生の要因

  • 炎症が消退していない状態で抜歯処置を施行しなくてはならない事、また2度にわたり気分不快症状が生じた事に対して、精神的な動揺があり、冷静な判断が出来ていなかった。
  • 再度、浸潤麻酔を追加する際に、患者本人と介助者に対して抜歯部位とこれから行う処置内容の確認を怠り連携不足だった。
  • エックス線写真は左側にも関わらず、右側の処置を行ったことに対しても確認不足であった。

改善策

  • 患者本人や指導医と連携を取り、これから行う処置や部位等の確認を複数回にわたり適正かつ確実に行っていく。

事例95:治療・処置の管理に関する医療事故

実施した医療行為の目的

軟口蓋裂に対し、全身麻酔下にて口蓋形成術が施行された。
手術終了時に創部の保護のため、硬口蓋に患者個人のプラスチック性の口蓋シーネを歯槽部に左右と正中の3箇所絹糸で固定し、手術を終了した。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 口蓋形成術を施行後、口蓋固定用シーネを装着し、絹糸によって3箇所固定。
  • シーネが、絹糸がシーネ側に付いた状態で完全脱落。
  • 全身麻酔下で再固定術を施行した。

医療事故発生の要因

  • 手術時のシーネ装着・固定時の確認不足(絹糸による縫合の状態やシーネの弛みの有無確認が不足)
  • 手術翌日の経口開始等に伴う固定のズレやシーネ脱落のリスクを予測した観察や確認が不足していた。
  • 患者は1歳8ヶ月であり、術後口腔内の状況を把握できる年齢でないため、同様の手術をした患者がシーネに手をやり、時には自分で外そうとすることもあるが、3箇所の固定を行っているため、原則外れることはないと考える。
  • 今回固定したシーネが患者が自分で外す動作を行わずして、術後2日目に固定したシーネが外れたという事象を考えると、シーネを固定した術者の手術手技が未熟であったことと、固定後の状況確認(しっかり固定されているかの確認)が十分になされていなかった背景要因があると考える。

改善策

  • 慎重操作。
  • 術後の十分な観察と確認。
  • シーネが外れることで創部への影響はもとより、シーネの口蓋粘膜の間に留置していた軟膏ガーゼが口腔内に落下し、誤飲・誤嚥をきたす可能性もあるため、シーネ固定は、適切に行う。
  • 手術終了時に指導医の確認を得て、終了する。

事例96:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

全麻下での両側頸部郭清、上顎部分切除、分層植皮術。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全麻下で両側頸部郭清、上顎部分切除、分層植皮術実施。
  • 抜管後、vital sign 安定するも呼名に応じず。
  • 右上下肢麻痺も認め、脳外科にコンサル実施。
  • 同日CT撮影するも脳出血は認めず、脳梗塞だとしても発症直後のためMRIでも診断がつかない可能性、術直後のため治療もできない。
  • 麻酔覚醒遷延の可能性もあり、家族に同意を得て翌朝まで経過観察するも症状改善認めず。
  • MRI撮影し左前頭葉から後頭葉に梗塞を認め、同日脳外科へ転院。

医療事故発生の要因

  • 予測できない術後の状態悪化であった。

改善策

  • 既往歴等を確認し、急変があった場合は迅速な対応をとる。

事例97:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

  • 患者は障害者で歯科治療恐怖もあったため、智歯3本の抜歯と上顎左側第二大臼歯のう歯の治療を全身麻酔下で実施した。
  • 上顎右側第三大臼歯は萌出が十分でなく傾斜もしているため、炎症をおこしやすいため抜歯することとした。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 上顎右側第三大臼歯を抜歯する予定であったが、間違って隣の上顎右側第二大臼歯を抜歯。
  • 抜歯後の確認で気がつき、上顎右側第二大臼歯をもとの抜歯窩に再植し固定。

医療事故発生の要因

  • 研修医が抜歯操作を主に行い、指導医が抜歯指導をしていた。
  • 主治医は手術助手でそばにいた。
  • 当該歯に浸潤麻酔を行い、ヘーベルと呼ばれる抜歯器具を当該歯に用いる操作は研修医と指導医とが交互に行っていた。
  • 抜歯した後、その歯が隣接の別の歯であることを主治医が気付いた。
  • 研修医、指導医、主治医とが抜歯最中に抜くべき歯であるかどうか確認不足であり、指導医も思い込みで抜歯操作をしていた。
  • 抜歯すべき歯は虫歯の無い萌出歯であり、間違って抜いた隣接歯と外見上似ていた。

改善策

  • 複数の歯を治療する場合は特に、1本毎にタイムアウトを実施し、全員で治療すべき歯の確認を指差しで確認する。
  • 研修医指導の過程で生じたたため、指導歯科医が研修歯科医に抜歯させる際の指導方法を明文化する。
  • 抜歯すべき歯のマーキングも可能であれば行う。

事例98:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

外来にて矯正治療中であり、不要歯の抜歯目的で来院。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 抜歯予定の乳歯(52)が脱落し、全く同じ場所に永久歯(14)の一部が萌出しているのを、目的の乳歯と思い込み誤抜歯。
  • 歯根を見て誤抜歯したことに気づき、直ちに同位置へ再植。

医療事故発生の要因

  • 事前に、本日の予定で歯科医師A(矯正医5年目)は、歯科医師B(抜歯担当医5年目)と共に、前回(2週間前)撮影のデンタルCT画像を確認し、52を指差して「歯冠だけの、この歯を抜くように」と歯科医師Bへ抜歯を依頼していた。

  • 歯科医師Aは当該患者より「2日前に歯が抜けた」と聞いたが、2週間前に撮影したCT画像と口腔内を適宜照らし合わせところ、前回診察時と同位置に歯が見えていたため、抜歯予定の乳歯(52)は抜けたのではなく、欠けたものだと判断し、歯科医師Bへは患者からの「歯が抜けた」という情報は伝えていなかった。

  • 52の残歯と思い込んでいた歯科医師Aは、歯科医師Bにその歯を処置するように依頼し、抜歯直前に歯科医師A・B二人で口蓋に見えている歯を目視し、それを指さして「この歯だよね」とお互いに確認した。

  • 抜歯を担当した歯科医師Bは、歯根が長く、永久歯ではないかと思い、「歯冠だけの歯のはずなのに、抜いた歯が大きい」と歯科医師Aへ報告した。

  • その時に、抜歯予定であった52はすでに完全に脱落しており、口蓋に見えていたのは永久歯(14)で、それを誤抜歯したことがわかった。

  • 外来医長へ報告し、直ちに再植するように指示を受けた。

  • 当該診療科では、前回(3週間前にも誤抜歯あり)の事故を受けて、事前に複数の医師間で画像の確認を行い、抜歯直前に必ず二人で口腔内を確認するという手順にしていた。

  • 複雑な歯列、高難度な抜歯に関しては、事前にCT画像で抜歯部位を確認しており、抜歯直前に改めてX-Pを撮るということはしていなかった。

  • 患者から「2日前に歯が抜けた」という情報があったが、診察所見から歯科医師Aが単独で「抜けたのではなく欠けた」と判断しており、残存している歯の状態を確認するために、X-Pを撮るなど、慎重な確認が不足していた。

  • 抜歯担当医への情報提供・コミュニケーション不足が重なった。

改善策

  • 抜歯を依頼する際

    • X-P画像、患者の口腔の状態、(患者、口腔内写真、3D画像、模型のいずれか)を対診にて確認し、抜歯を依頼する。
  • 難症例の場合

    • 先天異常、顎変形を伴う小児・矯正歯科患者、小児患者の埋伏歯口唇口蓋裂患者の顎裂部周辺の乳歯については、全症例をカンファレンスにて検討し、抜歯部位と切開線などの抜歯手技を確認する。
  • 抜歯当日の流れ

    • 矯正歯科指導医と歯科口腔外科専門医が対診にて抜歯部位を確認する。(X-Pと口腔内を両方確認、指さし、歯名読み上げ確認)
    • 歯科口腔外科専門医が立会い、浸潤麻酔・切開等開始
    • 挺子・鉗子等で抜歯操作に入る前に、歯科口腔外科専門医が立会い、抜歯部位の再確認。(X-Pと口腔内を両方確認、指さし、歯名読み上げ確認)

事例99:誤嚥に関する医療事故

実施した医療行為の目的

下顎右側第一大臼歯:齲歯の抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

◆抜歯中に、破折した歯牙の歯冠を誤嚥した事例

  • 患者は、下顎右側第一大臼歯に齲蝕が認められ、抜歯。
  • 右下6歯を鉗子で把持したところ、歯冠が破折。
  • 破折した歯冠は鉗子で挟んだままと思い、鉗子をバットの上に置き、残った歯根を抜歯するとともに、他の抜歯適応の3本を抜歯。
  • その時点で、口腔内を確認すると、咽頭部に破折した歯冠が認められたため、すぐに側臥位にし、摘出を試みたが摘出できず、見失った。
  • 胸部単純X線撮影により、右気管支部に歯冠様の陰影が認められたため、CTにて精査し、右気管支内に歯冠を確認。* その後、内科に依頼し、ミダゾラム注による鎮静を行い、気管支鏡下に歯冠を摘出。
  • 摘出後、ミダゾラム注による鎮静後であるため内科外来にて2時間程度経過観察を行い、一般状態や覚醒度の確認等を行い、帰宅させた。

医療事故発生の要因

  • 認知症、脳梗塞後遺症のため、体動が激しく座位が取れず、また、開口状態を自ら保つことが困難な状態であった。
  • そのため、抜歯前にX線写真で齲蝕の進行状態を確認できなかったとともに、仰臥位で、開口器を装着した状態で抜歯を行った。
  • 歯牙破折時、歯冠は鉗子に挟まれたままであると思い込み、破折した歯冠が口腔外にあることを目視で確認していなかった。

改善策

  • 誤嚥リスクがある患者では、可能な限り座位にし、咽頭部にガーゼをおいて、誤嚥防止に努める。
  • 歯が破折した場合には、すぐに破折片の所在を確認する。

事例100:医療機器等・医療材料の不適切使用に関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯牙の仮封剤の除去。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 右下第2大臼歯の仮封剤を超音波スケーラーを使用して除去する際、超音波スケーラーから充分な注水が出来なかったため機器の故障と判断し、介助者による3ウェイシリンジからの注水を行いながら、約15~20秒間超音波スケーラーを使用して仮封剤を除去。
  • 当該患者から当直医に、治療の際口唇を火傷したとの連絡を受けた。
  • 当該患者の口腔内を診察し、下唇粘膜部に水庖が形成されているのを確認。
  • 受傷の原因として、発熱したスケーラーのチップ部分が下唇粘膜部分に接触したためと推測された。

医療事故発生の要因

  • スケーラーの注水量の調節方法を知っていたが、実際に調節してみても充分な注水量が得られなかったため故障と判断し、介助者による3ウェイシリンジからのスケーラーの先端部分への注水により使用した。
  • 3ウェイシリンジで注水していたので発熱しないと思い使用したが、注水に気をとられしっかりと口唇の圧排ができておらず、水が充分にかからなかったスケーラーの根元に近い部分が下唇に触れ火傷したものと思われる。

改善策

  • 機器の始業点検を確実に行い、機器の不具合が確認された場合には、速やかに点検・修理を依頼し、他の機器を使用する。
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