【事例研究】歯科医師による医療事故まとめ(6ページ目)

【事例研究】歯科医師が当時者となった医療事故6

過去に歯科医師が当事者となった医療事故の事例をまとめました。
歯科医師による医療事故を少しでも減らすため事例研究にお役立ていただければ幸いです。

※個別の事例についてのお問い合わせには応じかねます。予めご了承ください。

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事例126:異物の体内残存に関する医療事故

実施した医療行為の目的

右頬粘膜腫瘍の臨床診断にて全摘生検を行った。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 右頬粘膜腫瘍の全摘生検を行ったところ、術後、病理組織診においてSCCの診断が出たので、現在入院下で全身検索中。
  • 造影CT、MRI撮るため、口腔内の補綴物を除去していたところ、歯科用バーの先端が破折した。
  • 胸部Xp撮影したところ食道内にバーの先端を認めた。

医療事故発生の要因

  • 高齢のため、指示に即座に対応するのが難しかった。
  • 治療時間の短縮のため、破折しやすい種類のバーを使用していた。

改善策

  • 破折しにくいバーを使用する。

事例127:誤飲に関する医療事故

実施した医療行為の目的

インプラント印象用コーピングを用いて概形印象を採取する予定であった。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 印象用のコーピングを外す際に誤って口腔内に落としてしまい、患者がそれを誤飲してしまった。

医療事故発生の要因

  • しっかり把持しておくべきだったが、落下させてしまった。
  • ラバーダム等装着せず、コーピングに糸も通していなかった。

改善策

  • ラバーダム等の使用や、コーピングに糸を通しておくことを推奨する。
  • 誤嚥時の対応フローチャトの作成。

事例128:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

  • 右下顎第二大臼歯の腫脹を主訴に紹介元を受診した。
  • 投薬を受けたが腫脹が改善せず、本院を紹介受診した。
  • 右下顎の嚢胞摘出手術及び右下顎智歯の抜歯を施行することとした。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 静脈麻酔下で右下顎の嚢胞摘出手術及び右下顎智歯の抜歯を施行。
  • 手術は口唇に扁平鈎をあてて牽引し、術野を確保したうえで、注水しながら骨の削除及び歯冠の分割を行い、病変の摘出及び智歯の抜歯を行った。
  • 術中、切削器具による口角の損傷は確認できなかったが、術直後から右口角にびらんが認められた。
  • 手術時、智歯の分割、骨削除にハンドピースを用いたが、術中にハンドピースの枝の部分が口角に触れていたかは不明。
  • 手術創自体の経過は良好であったため、口角のびらんについては外来にて経過観察する方針となり、翌日退院。
  • 患者に口角の状態について説明し、外来にて経過観察。
  • 外来では入院中に処方し、継続していたリンデロンVG軟膏を塗布して経過観察。
  • 手術の創は術後1週間程度で落ち着いており特に問題なかったが、右口角のびらんについては残遺していた。
  • その後、右口角のびらんは目立たなくなり、治癒傾向にあったが、術後5ヶ月後でもまだ瘢痕組織として残遺していた。

医療事故発生の要因

  • 術野に気を取られ、それ以外のところまで目が行き届いていなかった。

改善策

  • 手術時の器具の取扱いについて、より注意深く行う。

事例129:異物の体内残存に関する医療事故

実施した医療行為の目的

摂食状態不良のため、中心静脈栄養を行った。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 舌癌術後で肺転移、脳転移の患者は、摂食不良のため、左上腕からグローションカテを留置して中心静脈栄養を行っていた。
  • 約3週間後、刺入部より輸液の漏出を認めたため主治医がカテーテルを抜去、歯科麻酔科医が右上腕にグローションカテーテルを再留置。
  • その後、緩和ケア目的に他施設へ転院。
  • グローションカテーテルを留置して約3ヶ月後、転院先の医師から、CT画像にカテーテルと思われる画像が認められることの連絡があった。
  • カルテ及び画像の再検討を行った結果、当院で留置していたカテーテルが遺残していると推測。
  • 患者には感染の兆候などは認めていない。

医療事故発生の要因

  • カテーテルを抜去したのが初めてであった。
  • 抜去したカテーテルの先端を確認していなかった。

改善策

  • カテーテルを抜去した時は、必ず先端を確認する。
  • カテーテルに不具合が疑われる場合は、X線撮影を行い確認する。

事例130:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

過剰埋伏歯の抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 外来局所麻酔下で上顎前歯部の過剰埋伏歯抜歯を行う予定であった主治医が、講義のため執刀できなくなり、急遽執刀医が変更となった。
  • 抜歯の準備を開始し、消毒、浸潤麻酔を行い、上顎前歯部歯肉の切開、剥離を行った。
  • 剥離を進めるも埋伏歯相当部に埋伏歯の歯冠及び骨膨隆はみられず、骨の削合を行うべきか判断している途中で、様子を見に来た外来責任医に反対側ではないかと指摘され、反対側であることに気付く。
  • 患者の状態(号泣、開口保持困難)から処置の継続は困難であり、患側の埋伏歯抜歯は断念し、再度日をかえて抜歯することとし、切開部を縫合し当日は終了。
  • 経過は良好で、今後全身麻酔下で埋伏歯抜歯を行う予定。

医療事故発生の要因

  • 急な執刀医の変更。
  • 第三者を含む確認をしていなかった。
  • 術野が左右対称であった。

改善策

  • 手術場における全身及び局所麻酔の手術と同様に、手術開始時には外来小手術においても第三者(看護師、歯科衛生士)を含めた病名、部位の確認を徹底する。
  • 医師毎の予約板を徹底し、主治医が執刀することを原則とするが、止むを得ず執刀医変更する場合には、画像、カルテで確認を行い詳細な伝達を行う。

事例131:誤飲に関する医療事故

実施した医療行為の目的

根管の清掃。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 患者が来院。
  • 患者とは初対面であったため、ユニットに誘導後自己紹介し、他科での診察や昼食などの話をし、口腔内の状態を確認。
  • ユニットを斜め40度に倒し、仰臥位にて左下7番の根管治療を開始。
  • ロールワッテにて簡易防湿を行い、明視野にて咬合面のセメントを除去。
  • 根管内のカルシペックスを25mmの20号Kファイルにて除去し、根管よりKファイルを取り出した際、Kファイルを口腔内に落とした。
  • 直ちに咽頭部、口腔内を確認し、患者に顔を横に向けるように指示・誘導し、左を向かせた。
  • 隣のユニットで診察を行っていた医局長にKファイルを落としたことを報告。
  • 医局長、衛生士が駆けつけ、患者に咳をするよう促したが、患者は自覚無く、咳を5回ほどすると、左側の顎下部を触りながら「何かこの辺がちくちくする感じがある。」との反応。
  • 医局長が耳鼻咽喉科医師に連絡し、モニター(SPO2、血圧)装着。
  • 車いすにて放射線部移動後、胸写にて胃上部にKファイルを確認したため、消化器内科受診となり、内視鏡にてKファイル摘出を行うこととなった。
  • 車いすにて内視鏡室へ移動。
  • 上部内視鏡前処置開始後、内視鏡下による摘出術を開始し、途中胸写・CT検査による位置確認を行い、Kファイルを除去できた。
  • 処置に時間を要したため、一泊入院を勧め、患者の了解が得られたため入院となり、翌日問題無く退院。

医療事故発生の要因

  • 安全装置使用対策を行っていなかった。
  • 技術が未熟であった。

改善策

  • 口腔内への器具落下を考慮した対策(デンタルフロスやデンタポートを繋ぐ、ラバーダム、ガーゼを張る等)を実施する。
  • 上級医と共に診療を行う。

事例132:方法(手技)の誤りに関する医療事故

実施した医療行為の目的

右下顎骨埋伏歯(右下45歯根間に埋伏)抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全身麻酔下にて右下顎骨埋伏歯(右下45歯根間に埋伏)抜歯施行中、誤って隣接歯牙(右下5)歯根を歯根1/3程削合してしまった

医療事故発生の要因

  • 技術・熟練度・経験の未熟さ。

改善策

  • 手術中、慎重に埋伏歯と隣接歯牙の歯根との位置関係を再確認し、骨の削合を進めていく。
  • 自己の技術・熟練度・経験に見合わない手術を施行しようとする場合、経験のある医師に相談する。

事例133:患者の自殺に関する医療事故

実施した医療行為の目的

特になし

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 舌がんにて左側舌悪性腫瘍切除術、両側頚部郭清術、左大胸筋皮弁再建術、気管切開術施行。
  • 発熱等なく、創部や舌再建部の経過は良好。
  • 術后夜間の不穏・不眠が見られたため、精神神経科にコンサルトし、薬物処方にて対応。
  • 患者より不眠、および呼吸苦の訴えがあったがSpo2の低下はなく、頻回に気切から吸痰や当直医によりボーカレート(8.0Fr)の交換を行い患者より呼吸苦が改善したと筆談された。
  • 看護師が処置室から自室の病室に向かって廊下を歩いている姿を確認、病室訪室するも不在、フロアー内、院内を捜索。
  • フロアー内の立ち入り禁止内の改修工事中のトイレ内で縊死していた。

医療事故発生の要因

  • 男性一人暮らし。長期にわたる飲酒歴と手術への不安の訴えあり、入院時から早期にあるアルコール離脱せん妄、術後せん妄のリスクが高いため精神神経科で対応していたが、入院中はうつ的言動は聞かれず衝動的行為であったかと判断された。

改善策

  • 精神的不安の強い患者などを対象に治療前に心理的サポートができる多職者によるチームでかかわれる体制強化。

事例134:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

患者の顎の変形に対し、口腔内から上顎骨と下顎骨を多分割し、顎顔面骨の形態と咬合を改善する。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 顎骨を手術用ドリルで多分割する際、回転器具であるドリルの把持部が発熱。
  • 把持部が上唇皮膚に接触し、皮膚熱傷が生じた。

医療事故発生の要因

  • 今回の上顎多分割手術は通常の分割手術より分割操作が多く、また、分割部分が複雑な形状に設定していたため、手術用ドリル器具を用いた口腔内手術の角度に制限が生じていた。
  • 思った以上に手術用ドリル器具が発熱していた。

改善策

  • 回転器具の把持部を濡れガーゼ等で覆うことや角度付ヘッドを使用し術野の熱傷防止に努める。

事例135:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

  • 両側上顎中切歯埋状過剰歯2本の抜歯術を局所麻酔下で施行した。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 局所麻酔剤は既往のクレチン病のため常用するキシロカインが使用できなかったため、シタネストを使用。
  • 局所麻酔終了後、口蓋粘膜をメスにて切開し剥離、過剰歯は完全に骨性埋状であった。
  • 左側より開始し口蓋骨を一部切削。
  • 切削後、歯冠が一部確認できそれを過剰歯と判断し歯冠明示後、抜歯。
  • 右側上顎正中埋状過剰歯も同様に骨切削後、抜歯した。術後感染なく経過し、全抜糸施行。
  • 粘膜の治癒を待ち再診とした。
  • 再診時に術後経過確認のX線検査にて左側過剰歯1本が残存しており、左側上顎側切歯(永久歯)の消失を認め、誤抜歯であることを認識。

医療事故発生の要因

  • 術前検査の不足。
  • CT撮影等の過剰歯の三次元的位置把握が不十分。
  • CT撮影は保護者が希望されなかった。
  • 代替の検査を検討する余地があった。
  • 術中、視診にて十分に確認する必要があった。
  • クレチン病のため常用の局所麻酔よりも麻酔効果の低い薬剤を使用し、術中の疼痛管理が困難であり、小児のため術中の激しい体動、号泣のため術野の明示も困難であった。

改善策

  • 術前の過剰歯位置確認のために十分な画像検査の必要性を説明し了承を得る。
  • 術中、視診でも十分に確認を行う。
  • 判断が困難な場合は指導医に助言を求める。

事例136:診断お及び処置に関する医療事故

実施した医療行為の目的

前歯部の根管治療。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 根尖性歯周炎の診断をし根管治療を行っていたが診断が誤っていた。
  • 処置中にパーフォレーションし歯肉を傷つけた。

医療事故発生の要因

  • 診断を誤った。
  • 処置中に偶発症として歯肉を損傷した

改善策

  • 不明

事例137:未実施・忘れに関する医療事故

実施した医療行為の目的

6┐慢性化膿性根尖性歯周炎に対する抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 入院、1┐┌1の抜歯術を施行した(既往に大動脈弁置換術あり)。
  • 退院。その後、患者は近医でfollowされていた。
  • 近医より電話で6┐歯根の一部遺残があると指摘された。
  • 外来受診後X線撮影し、歯根遺残を確認。
  • 入院、6┐歯根除去術を施行し、退院。

医療事故発生の要因

  • 抜歯術中、術後の歯根の状態について、複数の口腔外科医での確認が不十分だった。
  • 術後にX線撮影を行っていなかった。
  • 上級医への報告が不十分だった。

改善策

  • 術中、術後に複数の口腔外科医で歯根遺残の有無を確認する。
  • 歯根の残存が疑わしい場合はX線撮影で確認する。
  • 主治医交代の際には、前任の主治医の最終診察の際に、後任の主治医が一緒に診察し、書面により引継ぎを行う。

事例138:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

  • 急性化膿性歯髄炎のため、右側下顎第二大臼歯を麻酔抜髄。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 急性化膿性歯髄炎のため、右側下顎第二大臼歯を麻酔抜髄予定であったが、間違えて右側下顎第一大臼歯を麻酔抜髄した。

医療事故発生の要因

  • 当日、当該歯の確認について、近心・遠心双方から数える確認をしていない。
  • 当日、当該歯の確認について、患者と共に指差し確認をしていない。
  • 外国人であり、言葉の問題からコミュニケーションが取り難い患者の対応ができていない。
  • 患者が重なり、時間に余裕がなかった。

改善策

  • 抜髄する歯について、近心・遠心双方から数え確認する。
  • 患者と共に、指差し確認を行う。

事例139:検査の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

下顎骨骨髄炎仁対し、造影CT撮影を実施。
患者は喘息発作の既往歴があった。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 左下顎歯肉に疼痛あり。
  • 紹介医にて加療を受けるも改善せず、本院歯科口腔外科を紹介受診した。
  • パノラマX線写真上にて骨吸収及び骨髄炎を認めたので、精査のため、造影CTを依頼した。
  • CT室で造影剤のイオパミロンを静注したところ、10分後に意識障害、喘鳴が出現。
  • Vital安定していたが、血圧低下(収縮期70台)を認めたため、Adrenaline0.3mgを皮下注射し、ドクターハートを要請。
  • 救急外来Dr到着時、JCS10、BP70台、喘鳴、頻呼吸、呼吸困難あり。
  • SpO2100%(O2 マスク7L)、生食iv。
  • その後、救急外来に搬送。
  • JCSクリア~1、BP143/89、SpO298%(room)、HR95、kt36.9。
  • メプチン1A吸入、プリドール125mg+生食500ml追加。
  • トリメント1Aiv。採血、胸部レントゲン撮影施行。
  • Vital安定確認後、院内ネットワークに家族への連絡先の登録がなかったため、本人が意識を回復した際に直接連絡先を聞き、家族に連絡を行った。
  • その後、発作の再発は認めず状態安定したが、経過観察のため歯科口腔外科に入院。

医療事故発生の要因

  • 問診票に患者本人以外の連絡先の記入を義務づけていなかったため、緊急時に家族への連絡が取れなかった。
  • 今回は、救急治療中に偶然患者の意識が回復したため、連絡先を聞き出すことができた。

改善策

  • 喘息発作の既往がある患者に対して必要性があって造影CT撮影を行う場合、造影剤アレルギー反応が生じた後の対応が速やかに行えるよう、本人以外の連絡先を記載してもらうようにする。

事例140:異物の体内残存に関する医療事故

実施した医療行為の目的

抜歯後、抜歯窩の止血目的。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 左上第8埋状抜歯 抜歯後にオキシ綿球を抜歯窩に圧入して止血。
  • その際にオキシ綿球の1個が抜歯窩穿孔部より上顎洞内に迷入していたが見落としていた。
  • 一ヵ月後に左抜歯窩周囲の腫れ痛みがあり、その後洗浄や抗生剤内服治療など保存的加療を行うが軽減せず。
  • 耳鼻科対診し、4ヵ月後、中鼻道開放術(内視鏡下)施行。
  • オキシ綿球が発見。

医療事故発生の要因

  • 歯科処置の際の綿球、ガーゼなど使用材料に関してのチェック体制の不備。
  • ルールやきまりがなかった。

改善策

  • 歯科外来において使用するオキシ綿球に対して、準備・回収の両ステップにおいて、術者・介助者のダブルチェックでカウントの確認を行う。
  • 止血に際して使用するオキシ綿球は場合によっては生体内に迷入させてしまう可能性があるものとして慎重に扱い、出来るだけ迷入させるリスクの少ないオキシガーゼを使用するようにする。

事例141:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

抜歯

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 上顎左側2、3のみ残存しており、歯牙形態においても区別がつきにくかった。
  • 患者に奥の歯(左上2)の抜歯ですねと確認を行い、同意を得たため左上3を抜歯。

医療事故発生の要因

  • 患者に「残存歯2本のうち、奥の歯を抜歯します」との確認のみでデンタルでの確認を行わなかった。

改善策

  • 患者本人への確認だけではなくデンタルでの確認、部位が分かり難い場合においては補綴科への直接確認を行う。

事例142:がんの切除に関する医療事故

実施した医療行為の目的

左上顎歯肉がんに対する切除及びリンパ節郭清術。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 左上顎歯肉がんに対する切除及びリンパ節郭清術の術後9日目に、左頸部創部から動脈性の出血を認め、緊急手術。
  • 出血は左側総頸動脈の破裂によるものであり、止血術、再建術を行った。(この時、血管には炎症性変化及び壊死を認めた。)
  • 出血量は2500mL程度であったと推測している。
  • 術後厳重に集中管理を行ったが、脳浮腫が進行。
  • 次第に全脳虚血・脳幹部障害を生じ、出血発生後7日目に死亡。

医療事故発生の要因

  • 動脈破綻をきたした最大の要因は、創部感染症と考えている。

改善策

  • 不明

事例143:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯科矯正治療目的に転位歯の抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 上顎左側中切歯の誤抜歯。

医療事故発生の要因

  • 歯科医師Bが歯科矯正科からの依頼文を読み間違えた。
  • 依頼文には、歯式・歯の名前が記載されていた。
  • 歯科医師Aが依頼文を確認せずに歯科医師Bに告げられた通り処置を行った。
  • 本来であれば、1回目の受診で、抜歯する歯を確認する。
  • 同意書は、1回目の受診日及び当日もらう。
  • 同意書説明の際に、患者に抜歯部の確認をする。

改善策

  • 依頼文を慎重に読み、抜歯部位に誤りがないかを確認する。
  • 特に依頼文を確認する歯科医師と処置を行う歯科医師が異なる場合は、お互いが依頼文を確認し内容をダブルチェックした上で、処置を行う。

事例144:ドレーン・チューブ類の使用に関する医療事故

実施した医療行為の目的

気管挿管

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 気管挿管中に頭位変換で気管チューブが浅くなり、換気不能となった。
  • 抜去が考えられたため再挿管を行った。

医療事故発生の要因

  • 右口角より挿管し、舌をよけてチューブを左口角に固定した。
  • 耳鼻科医が手術体位を取るため頭部を動かし、術中モニターを装着中に換気不良となった。
  • 麻酔科責任者が到着しチューブが抜けていると判断し、マスク換気を行い酸素化改善の後、再挿管を行った。
  • チューブが抜けた原因として、下記のことなどが考えられた。
    • チューブを右口角より左口角に移動した際の、舌のよけ方がたりずに口腔内でたわんでおり、実際のチューブの位置が浅くなっていた。
    • 挿管チューブを期間内に進めたつもりが、気管入口部に引っ掛かった状態になっていて、口腔内で軽く折れ曲がった状態になっており、頭位変換により完全に折れた為閉塞し換気不良となり、頭位を戻し際に向けてしまった。

改善策

  • 挿管時は、チューブが確実に気管内に挿入されるのを目視し、適正位置になってから喉頭鏡をはずす。
  • チューブ固定位置を変える際は、確実に舌根部まで指をいれて移動させ、口腔内でのチューブのたわみがないことを確認する。
  • 頭位変換時は注意観察する。
  • チューブの固定をしっかり行う。

事例145:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯科矯正治療のための下顎左側第一小臼歯の便宜抜歯手術の実施。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 矯正歯科担当医より、矯正治療のための下顎左側第一小臼歯の便宜抜歯手術を、歯科口腔外科担当医に依頼される。
  • 依頼を受けた歯科口腔外科担当医は、下顎左側の第一小臼歯と第二小臼歯が重なり合って萌出しており、舌側に転位していた第二小臼歯を第一小臼歯と思い込み、同診療科の上級医および依頼元の矯正歯科担当医に確認しないまま抜歯手術を施行。
  • 術後、矯正歯科担当医より抜歯部位を取り違っている事を指摘され、誤りに気が付いた。

医療事故発生の要因

  • 術者が判断に迷った場合には「単独で判断せず所属の上級医及び依頼元に確認する」というルールを怠り、思い込みにより手術を実施してしまった。

改善策

  • 従来通りの「判断に迷う場合は、所属の上級医及び依頼元の担当医等複数のスタッフで確認する。」を励行する。
  • 依頼元で依頼書に図示する。
  • 可能な限り依頼元担当医が手術に立ち会う。

事例146:方法(手技)の誤りに関する医療事故

実施した医療行為の目的

全身麻酔下にて両側上下埋伏智歯の抜歯。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 歯質をストレートのバーで削合の際に、バーの棒体部で右下口唇を裂創させ、右下赤口唇部の一部が陥凹し、欠損をきたした。
  • 報告をうけ、職種経験15年口腔外科専門医(形成外科で8年勤務歴あり)の者が赤唇の範囲内で欠損した部位を整復縫合。

医療事故発生の要因

  • ストレートのバーで歯質を削合した際、十分な視野を得るため、口唇の保護に用いていたアングルワイダーを外した時に生じた裂創であった。
  • 2名の術者ともに術野周囲に対する観察と注意力が欠けていた。(比較的経験年数のある当事者2のアドバイスと観察がありながら事故が生じた)

改善策

  • 術者は当然であるが、それをサポートする助手の術野の観察が必要である。
  • 経験の浅い術者に比較的経験のある術者が付いて生じた事例であった。
  • どんな状況においてもアングルワイダーは外さないという意識をもって抜歯を行う(全身麻酔という患者は無意識で行われた手術の際、口唇の保護に用いていたアングルワイダーを外したことで事故が生じた)。
  • 創部の知覚鈍麻が残存しており、誠意を持って長期的にフォローしていく必要がある。

事例147:治療・処置の実施に関する医療事故

実施した医療行為の目的

  • 左側舌縁部に疼痛自覚。
  • ステロイド外用も改善なし。
  • 切除生検を施行し、病理検査にてEarly invasive carcinoma suspとの診断となった。
  • 造影CT、USにて顎下部リンパ節転移の所見あり、精査・加療目的に入院。
  • 術前検査の結果より、舌については部分切除、術中迅速を行い、顎下リンパ節については、原発巣はEarly invasive carcinomaであり積極的に転移を疑う症例ではないが、USにて転移が強く疑われており、年齢等も考慮して顎下部郭清術を行う方針となった。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全身麻酔下に舌部分切除術、術中迅速、顎下部郭清術を施行。
  • 手術終了抜管後、舌からの術後出血がみられ止血操作必要と判断し、再挿管を歯科麻酔科に依頼、その後頸部も腫脹高度となり、マルチチャネルドレーンのバッグに300mL程度の出血を認めた。
  • 口腔内の出血が多く、頸部の腫脹に伴い喉頭蓋周囲も腫脹・圧迫されていたことで、再挿管に難渋し、バイタルは保たれていたが、再挿管に手間取り至急コールとなった。
  • 医科麻酔医の応援下にファイバー挿管、ファイバーのガイド下に再挿管を行うも、咽頭部の腫脹により気管チューブが入らず、最終的には6.0チューブにて挿管。
  • 再度全身麻酔下に舌および、左頸部の止血を行い、出血点ははっきりしなかったが、舌は前方を縫縮し、頸部は解剖学的に出血が予想される位置にペンローズドレーンを留置後、弾性テープを用いて圧迫止血を図った。
  • 気道周囲の腫脹のため抜管は困難、また、再出血の危険もあるためICU入室。
  • 気道周囲の再評価のためCT撮影を行い、気道狭窄の消失を確認したため抜管、咽頭造影にて嚥下評価を行い異常がないことを確認し一般病棟へ転棟。その後、退院。

医療事故発生の要因

  • 不十分な止血、術後の血圧上昇等が原因と考えられるため、リスクを感じる手術の場合は徹底的な止血を行う必要がある。

改善策

  • 再建を必要とする口腔がんの症例については術後の気道閉塞の危険性があるため、予定気管切開を行った上で全例ICU入室としている。
  • 今回の事例をうけ、口腔外科全体として出血・気道閉塞を来たす可能性が大きい術式として、以下の手術については抜管基準を見直し、ICU管理を考慮することとした。
    • 全頸部郭清術(特に両側に至るものについてはICU入室とする)。
    • 舌腫瘍切除術。
    • 手術終了時間が17時を超える場合(手術時間が8時間をこえる)。
    • その他術中経過に異常があるもの。

事例148:部位取違えに関する医療事故

実施した医療行為の目的

抜歯

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 全体的に歯の状態が悪く、上顎7本下顎10本の抜歯計画をもとに順次抜歯を行っていた患者。
  • 21┘の抜歯を施行したところ、患者帰宅後に「義歯がうまく入らない」と電話連絡があり、確認したところ、21┘ではなく、32┘(3┘は義歯の鉤歯)を抜歯したことが判明。
  • 患者に謝罪し、翌日に本来抜くはずであった1┘を抜歯し、義歯調整を行った。

医療事故発生の要因

  • 担当医が部位を間違った。(抜歯予定部位は21┘であったが32┘を抜歯した)

改善策

  • 抜歯前の診察時のみでなく、抜歯実施時にも2人以上の歯科医師で抜歯する歯をダブルチェックするようにする。

事例149:誤飲に関する医療事故

実施した医療行為の目的

インプラント印象採取後のヒーリングキャップ再装着。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • インプラント印象採取を行い、洗浄後にヒーリングキャップを再装着しようとしたところ、ドライバーから外れ口腔内に落下。
  • 直ちに術者は患者の顔を横に向けるように指示し、ピンセットで取ろうとしたが、すでにヒーリングキャップは口腔内に無かった。
  • 腹部レントゲン写真撮影により、胃内部に異物を認めた。

医療事故発生の要因

  • ヒーリングキャップのような非常に小さく器具から脱離しやすいものを取り扱う際は、誤飲・誤嚥事故が発生する可能性が極めて高いことを常に念頭に置く必要があった。

改善策

  • 患者の体位や口峡部にガーゼを置くなど誤嚥・誤飲事故防止の措置を行う。

事例150:誤飲に関する医療事故

実施した医療行為の目的

歯周治療のため左側上顎第一大臼歯口蓋側の歯周ポケットの洗浄。

医療事故の当事者の職種

歯科医師

医療事故の詳細

  • 歯科医師が歯科衛生士の介助のもと、患者の歯周治療のためディスポシリンジ(5ml)に生理食塩液を入れパイロゾン針装着後(差込み式)、患者を水平位にしたうえで左側上顎第一大臼歯口蓋側の歯周ポケットを洗浄中にパイロゾン針がディスポシリンジより脱離し、口腔内に落下。
  • 歯科医師はピンセットで、歯科衛生士は口腔内バキュームを用いてパイロゾン針を取り除こうとしたが間に合わず患者が誤飲。

医療事故発生の要因

  • 矯正・小児歯科診療室において同様のヒヤリ・ハット事例の報告があり、矯正・小児歯科においては、パイロゾン針に代わる物としてネオイリゲーションシリンジ(先端チップねじ込み式 5ml)が採用されており、病院全体としての大替品を検討中であった。

改善策

  • 誤飲事故の発生報告を受け病院長の指示により、即日全診療科のパイロゾン針を回収し使用禁止とした。
  • 代替品が決定されるまでの間、ビタペックスの先端等ねじ込み式の物とロック式ディスポシリンジを代用するよう医療スタッフ全員に通達を行った。
  • 代替品の検討を医療安全推進委員会において行い、医療安全管理委員会において、ネオイリゲーションシリンジの先端チップとロック式ディスポシリンジを組み合わせて、試験的に使用を行うことが報告された。
  • 医療安全管理委員会において試験結果が報告され、先端チップの色をクリアーとして、目詰まりが目視にて確認出来る事、目詰まりしていても相当な力を加えない限りねじ込み部分から液体が漏れるだけで先端が脱離することはない事が報告され、正式採用が決定。

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